学生諸君へ
学生へ

 火野葦平の研究家としても著名な池田浩士が『インパクト』138号に「『大学』が死に行くさき」と題する文を発表している。国立大学法人化をめぐっての論文だが、ここで同論文にふれるのは、池田が述べていることとは全く無関係である。
 まもなく、ながーい夏期休暇になるが、その間、ぼけっとしている学生、アルバイトに汗を流している学生(その汗の意味が重要だが)、国内旅行や外国旅行にうつつを抜かしている学生などには以下に述べることは無用だ。
 この夏、生涯の思い出になるような研究をやりたいと計画している学生よ、そのテーマが決まっていなかったら、次の様なことを参考にして欲しい。池田の論文から一部を引用(転載)する。

 旧・国鉄が乗っ取られてJRとかいうものになったとき、旧・国鉄のいわゆる赤字路線はJRから分離され、「第3セクター」という名の弱小企業と化すことを強いられた。その直後に起こった滋賀県での信楽線の大事故は、国鉄改革なるものの本質を如実に物語っている。信楽線というローカル線は、もともと、地元に鉄道を、という地域住民の希いによって、線路や駅の用地も、枕木となる材木も、すべて住民が供出(!)してようやく実現された路線だった。国鉄は労せずしてこの線を得たのである。それが「赤字」となるや、「改革」はこの荷物をいとも簡単に棄てたのみならあず、今度は町ぐるみで必死なって経営されているこの新「信楽高原鉄道」に、JRが観光イヴェント期間だけ京阪神からの「直通電車」を乗り入れ、単線のこの線路に信号を無視して突入したあげく、前方から来た小さな町営鉄道車輌と正面衝突したのである。

 なんかやってくれそうな人物だとの期待をみごとに裏切った政治家が、「改革」「改革」とさけんで、改悪としか思えないことをやっている今日この頃、転記した、この池田の文に、「改革」を考察する上で恰好なテーマが含まれている。
 信楽線の事故のことを記憶しているだろうか。池田の文に述べられていることの当否を検討することから、テーマを絞ってゆけば、意味のある研究課題が生まれてくるだろう。ヒントはそれだけ。ここから先は自身で考えてほしい。


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