学生諸君へ
第29回 夏休みの本のガイド

  諸君、もう夏休みモードだろうか。青春は短い。大いに楽しみ給え。地球温暖化のためか、今夏も猛暑の日が続くようである。海へ繰り出すのもよし、山へ行くのもいいだろう。予算の関係でそんなに出歩けない諸君には、読書をすすめる。クーラーか扇風機のそばで、ごろりと読書するのも格別であろう。今夏は選挙などという騒音も参加するが……。
 そこで、今回は、ひさしぶりということもあって堅い話ではない。消夏の一案に、格好の本を推薦しよう。本を薦めることは、自分の趣味を押しつけるようなところがあって、時に、鼻持ちならない結果にもなるが、今回は、私の好みはなるべく控えて、誰にも通用する本を取り上げる。それから、推薦と言えば嘗ての文部省がらみみたいだから、ガイドとしようか。
1 『ミレニアム』1〜3巻
 1954年生まれのスウェーデン作家 スティーグ・ラーソンの遺作。各巻上下で全6巻の大作である。これがめっぽう面白い。騒音も暑気も吹っ飛んでしまうこと請け合い。ミステリー仕立てだから、内容には触れない。
2 『ロング・グッドバイ』
 ご存じレイモンド・チャンドラーの名作を村上春樹が新訳した。清水俊二の訳書が、これまで唯一のものだが、村上訳はそれを凌駕する訳になっている。これもミステリーだから中身には触れないが、とにかく面白い。私は通算すれば20回以上読んでいる。学生時代に原書を入手して清水訳と比較しながら読んだこともあるが、村上が、今回新訳を発表した動機が理解できる。
 奇しくも、どちらも早川書房の出版書だ。

 2冊だけか、と言われそうだから、最後に、これはちょっと押しつけがましいが、私の好きな本を。『容疑者』マイケル・ロボサム(集英社文庫)、『川は静かに流れ』ジョン・ハート(ハヤカワ文庫)。
 どれもこれもミステリーばかりだが、自信をもってガイドする。想い出の残る夏を!!


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